論文

    論文集 “21世紀の持続可能SDGsな農業のあり方を考える”

    企画のねらい

    21世紀になって世界的に持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)が唱えられているが、農業においても持続可能な発展が求められている。 しかし、現実には20世紀からの農業は持続不可能Non-SDGsな実態が続いている。 すなわち 特に第二次世界大戦後の戦後農政が物的な生産性向上を重点目標として実行されてきたため、現行の集約化・化学化・機械化および単作化・部門別規模拡大化(選択的拡大)の農業は以下のような基本問題をかかえたままといえよう。
    1. 農業生産力の持続性後退
    2. 自然環境の汚染・地球気候温暖化
    3. 生物多様性と生態系の破壊
    4. 家畜虐待
    5. 食の安全性への脅威
    「生物を育てる産業である」本来の農業のあり方を改めて反省し、農業者と食品企業者の経営理念とそのビジネス活動の進化によって消費者の食の安全性を実現することが問われている。 そのためにはとかく沈黙しがちな農業者と食品企業、消費者が自らの改革構想を考察するとともに、政策転換などを含めた社会システムの開発目標SDGsの提示が不可欠である。

    執筆論文の構成

    執筆論文は、AWFCJ会員である農業者の方々など農場の現場からの論稿、消費者団体及び食品企業の現場 からの論稿、大学や企業で研究されている方々からの論稿、の3分野から下記のように自由なテーマで書か れました。 なお、養賢堂出版月刊誌“農業および園芸”小特集「21世紀の持続可能SDGsな農業のあり方を考える」 2023年1月号、2月号、3月号に掲載されましたので、月刊誌及び別刷(@500円)を購入可能です。

    2023年1月号

    • 秋川 正 山口県秋川牧園「サステナブルな暮らしをつくる畜産」
    • 向山一輝  山梨県黒富士農場「ケージ飼育から資源循環型経営システムへの転換―戦略的に畜産規模を縮小する」
    • 滝川康治 ジャーナリスト「持続可能な北海道酪農への転換をめざして」
    • 氏本長一 京都府綾部市上林自然農園グループ「小規模有畜複合農業経営システムの存在意義と持続可能性」

    2023年2月号

    • 藤田和芳 オイシックス・ら・大地「食料の安全保障と自給」
    • 江川 淳 パルミート「輸入穀物飼料を使わない肉牛生産と消費の実践」
    • 池嶋丈児 Eat Natural「アニマルウェルフェア 理念の普及と販売促進への取り組み」

    2023年3月号

    • 酒井富夫 富山大学名誉教授「日本における農法論の展開と持続的農業経営像」
    • 赤坂俊哉 経営コンサルタント「日本の畜産は持続可能かー取り組むべき課題の探索と事業構想の試案」
    • 松木洋一 日本獣医生命科学大学名誉教授「多様な生物を育てる産業の担い手ー農業者の役割と課題

    以上のようなねらいによって、農業者、食品企業者・消費者団体、研究者の諸論説を参考に “21世紀の持続可能SDGsな農業のあり方”を考える契機となることを期待したい。

    2023年4月

    松 木 洋 一 (日本獣医生命科学大学名誉教授・農業経済学)

    養賢堂『畜産の研究』誌 連載 2019年〜2021年

    第1回 世界家畜福祉基準とアニマルウェルフェア食品企業ビジネスの動向

    日本獣医生命科学大学名誉教授 松木 洋一

    第2回 グローバル食品企業チェーンにおけるFAW養鶏ビジネス

    ヒューメイン・リーグ・ジャパン 上原まほ

    第3回 欧米における養鶏飼育システムのAWイノベーション

    SAO 企画,獣医師 奥山海平

    第4回 世界のAW 鶏卵・鶏肉市場の形成と動向

    麻布大学 大木 茂

    第5回 EUの養豚福祉政策の改革と市場経済化の進展

    松木洋一

    第6回 アニマルウェルフェアで成績UPと経営改善をはかるヨーロッパの養豚

    山下哲生

    第7回 日本におけるアニマルウェルフェア豚肉の現状と課題―放牧豚・低密度肥育豚・抗菌性物質1)不使用豚の事例

    大木 茂

    世界と日本のアニマルウェルフェア 畜産ビジ ネスの新展開 ( 3 ) ― 養 牛 産業における AW 食品ビジネスとイノベーション ―

    松木 洋一

    第8回 正しい理解でアニマルウェルフェア畜産を実践する ― 乳肉牛飼育おける実践的取り組み ―

    竹田 謙一

    第9回 日本とEUの酪農AWフードシステム開発の現状

    植木 美希

    第10回 主体別アニマルウェルフェア評価基準の比較と フードチェーン開発の進化

    松木 洋一

    「世界と日本のアニマルウェルフェア畜産ビジネスの新展開(4)2021年度」

    第11回 アニマルウェルフェア型畜産経営の分析課題/畜産の研究第75巻第5号(2021)

    酒井富夫

    第12回 農政改革下における有機畜産・アニマルウェルフェア畜産/畜産の研究第75巻第7号(2021)

    大山利男1

    第13回 家畜福祉畜産業の進化のための⾃然共⽣・有畜複合農法の開発/畜産の研究第75巻第9号第10号(2021)

    松木 洋一

登壇原稿

    2019年国際シンポジュームの原稿

    a.「シンポジュームの背景とねらい」

    こちらからDL

     b.「世界のAW畜産企業ビジネスが日本をどう変革するか?(当日のシンポ全体スケジュール)」

    こちらからDL

     c.「Dr.Kees Scheepens デューク オブ バークシャー(The Duke of Berkshire< 商標登録)

    こちらからDL 英語版こちらからDL

    d.Nickey Amos and Dr.Rory Sullivan グローバルビジネスのアニマルウェルフェア戦略と投資への影響」

    こちらからDL

    e.「松木洋一 日本のアニマルウェルフェア畜産の現状と展開」

    こちらからDL

     f.松木洋一  英文 “Development of Animal Welfare Livestock in Japan”

    こちらからDL

書籍

    日本と世界のアニマルウェルフェア畜産<上巻>

    “人も動物も満たされて生きる ―ウェルフェア フードの時代―”

    松木洋一 編著 https://www.yokendo.com/book/978-4-8425-0548-0.htm 日本における先進的なアニマルウェルフェア農場の存在とその成果を紹介 現在日本の畜産農場の大半は、欧米畜産先進国から導入してきた工場的畜産のままである。アニマルウェルフェア畜産農業者は極少数派であるが、単なる生産段階での飼育技術システムの改革だけではなく、飼育者が自身のライフスタイルをまさに「人間と家畜とが相互依存するウェルフェア共生システム」の中で充実させている人たちである。 欧米畜産先進国のアニマルウェルフェア畜産にも引けを取らない、日本における先進的なアニマルウェルフェア農場の存在とその成果を紹介する。その実態から伺えることは、家畜の行動の自由度をたかめる飼育によって、健康な家畜と安全で高品質の食品を生産するだけでなく、飼育者とともにそのフードチェーンでつながる食品産業の従事者、最終消費者もアニマルウェルフェア飼育の家畜と触れ合うことによって返って動物から癒しを与えられるという、「満たされた生活」を受け取る喜びがみられる。  欧米の人間優位主義的な動物管理視点(management)がつよいアニマルウェルフェア生産システムとは異なる、むしろ共生視点(Symbiotic)が強い「日本的アジア的なウェルフェア・フードシステム」が進展しているといってもいいであろう。株式会社養賢堂

    [目 次]

    はじめに 松木洋一 本書のねらいと構成                    松木洋一 第1章 小さな牧場の優しい牛飼い夫婦 ―北海道旭川・クリーマリー農夢              滝川康治 第2章 有機畜産のコミュニティづくり ―北海道せたな町“やまの会”                滝川康治 第3章 多彩なマーケティングの放牧酪農 ―北海道十勝しんむら牧場                 滝川康治 第4章 有機肉牛生産システムの開発 ―北里八雲牛ブランド                   小笠原英毅 第5章 放牧酪農認証牛乳の開発 ―北海道忠類酪農とよつば乳業                植木(永松)美希 第6章 有難(ありが)豚(とん)の挑戦 ―津波被災再建からウェルフェア フード開発へ         高橋希望 第7章 東京におけるアニマルウェルフェア 体験牧場農園の開設プラン ―牛と人のしあわせな牧場・町の中のおいしい楽しい牧場   磯沼正徳 第8章 ケージから放牧、有機養鶏への転換 ―山梨県黒富士農場                    向山一輝 第9章 理想郷を求めて建設した放牧養豚 ―山梨県ぶぅふぅうぅ農場                 中嶋千里 第10章 元気な生産者が健康な動物と人を育てる ―山口県秋川牧園のネットワーク生産            秋川 正 第11章 小さな離島での放牧養豚ライフスタイル ―山口県瀬戸内海・祝島の氏本農園             氏本長一

    21世紀の畜産革命 ―アニマルウェルフェア・フードシステムの開発―

    日本と世界のアニマルウェルフェア畜産<下巻>

    “ 21世紀の畜産革命 ―アニマルウェルフェア・フードシステムの開発― ”

    欧米で挑戦されている工場的畜産システムからアニマルウェルフェア畜産への転換「畜産革命」の動向をとらえ、日本でも始められつつあるアニマルウェルフェア畜産の課題を取上げた。 『日本と世界のアニマルウェルフェア畜産』上巻「人も動物も満たされて生きる」に続き、下巻「21世紀の畜産革命―アニマルウェルフェア・フードシステムの開発―」が刊行されました。 上巻は日本のアニマルウェルフェア畜産を経営されている先進的な牧場の実態をお知らせしましたが、下巻は21世紀に入って畜産先進国である欧米で挑戦されている工場的畜産システムからアニマルウェルフェア畜産への転換「畜産革命」の動向をとらえ、しかも日本でも始められつつあるアニマルウェルフェア畜産の課題を取り上げました。『日本と世界のアニマルウェルフェア畜産 上下巻』は日本での最初の本格的な家畜福祉についての著作と思います。とくに、下巻は20数名の専門家によって、家畜飼育生産者から食品企業、消費者までのフードチェーンの開発の実態とその展開する論理を分析しています。

    [目 次]

    序 章 アニマルウェルフェアフードシステム開発の論理 第1章 日本型アニマルウェルフェア畜産のフードシステム開発の課題 1. 放牧,野草の飼料利用,家畜福祉からの日本型畜産の未来像 2. アニマルウェルフェア食品の流通動向 3. アニマルウェルフェアと消費者イメージ ― 有機牛乳を対象として ― 4.「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針 5. 獣医学おける動物福祉教育の変革と課題 第2章 世界のアニマルウェルフェア畜産政策とフードチェーン開発の動向 1. OIEの世界家畜福祉基準の策定動向 2. EUの家畜福祉政策とWQブランド開発政策の動向と課題 3. アニマルウェルフェア鶏卵の小売業競争=英米における鶏卵小売業調査から 4. イギリスの家畜福祉ブランド及びチェーン開発の状況 5. オランダにおけるアニマルウェルフェア畜産の育成とフードチェーン開発 ― 養豚業界を事例として ― 6.アメリカのアニマルウェルフェアの最新動向 第3章 アニマルウェルフェア飼育技術の開発動向 1. 肉用牛の家畜福祉(アニマルウェルフェア) 2. 酪農の家畜福祉 3. 養豚の家畜福祉 4. 舎飼いにおける家畜福祉の改善 ― エンリッチメント手法の可能性 ― 5. アニマルウェルフェア総合評価法と家畜の健康・生産性との関係 6. 乳用牛のアニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針 7. と畜場における家畜福祉 8. 動物福祉飼育技術総論

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