アニマルウェルフェアに関心を持つ人の交流の場、学びの場として、AWFCJが主催した第1回アニマルウェルフェア大学の研修先は(株)渥美フーズ。地域密着型スーパー、レストラン、宿泊施設、循環型農場オアシスファームを複合的に運営しており、地域を活性化して、人にも環境にも優しい社会を作るという夢をお持ちで、着々と実現されていました。家畜はその中の大事な一員です。幸せに暮らし、人の役に立ちながら、自身ものびのびと過ごして命の循環の輪の中にいました。参加者は講師と関係者を含めて20名でした。

オアシスファーム
オアシスファームは、ごとうもみじとごとうさくらのオスメスと、日本短角牛を放牧飼育しています。オスの鶏は生産性がないので、通常は生まれてすぐに屠畜されます。オアシスファームでは、レモン、オリーブなどの果樹を植えており、そこに放されたオスの鶏たちが虫を食べ、雑草をついばむことで、除草剤や農薬を使わない果樹栽培をしています。農地は年々広げていて、目標はレモンだけでも1万本とのこと。訪問した時は生後10日と40日の雛が250羽ずつ育雛舎で育てられていました。オスは生後150日で「めぐる放牧鶏」としてプレミアムチキンとして販売されます。メスは成長したら鶏舎に移動します。現在、1300羽が平飼い放牧で飼育されており、お日様の陽をたっぷり浴びて、食堂やスーパーから出た食品残さなどを食べ、3年ほど卵を産み、そのあとは肉になります。
北海道から迎えた7頭の単角牛は1頭あたり1haの面積で24時間放牧されています。牛舎はなく、雨や風を避けたい時は自ら森に移動します。雑草と乾燥した牧草のほか、補助飼料として周辺の農家から引き取ったおからや米ぬかを与えています。9月に1頭出荷されてクラウドファンディングを行いました。
講義 日本型アニマルウェルフェアの未来を描く
「放牧の可能性と放牧の基礎〜耕作放棄地を放牧で蘇らせよう〜」
(株)サージミヤワキ 宮脇 豊氏
「放牧とはなんなのか?」 放牧とは単に野山に牛を放つことではなく、人間が「技術」と「資材」を使って収益を上げようとする経済活動とのことでした。様々なテクニックによって牛を管理することで草地が大きく変化して生産性が変化する。放牧先進国のニュージーランドに50回も足を運び、世界シェアを誇るGALLAGHER(ガラガー)電気柵システムの日本総代理店となっている宮脇さんだからこその貴重なお話でした。オアシスファームでも様々なタイプの電柵が使われていました。
「地域スーパー×アニマルウェルフェア」
(株)渥美フーズ 渡会一仁氏
ムダなものなんて、きっとない。 スーパーを始めた初代の祖母様から教わった子どもの頃からの大切な精神が今につながるお話でした。鶏飼育のきっかけは意外なエピソードでした。スーパーやレストランで出る野菜くずなどの食品残さがもったいない。だったら堆肥にしようと試行錯誤していたらウジ虫が大発生!アドバイスをもらい鶏を放したところ、あっという間に食べ尽くしてくれたそうです。訪問した直前には、農林水産省が主催する第13回食品産業もったいない大賞「農林水産省大臣官房長賞」を受賞されたとのこと。おめでとうございます!
「アニマルウェルフェアの多様性について」
かんばやし自然農園グループ(京都府綾部市)世話人 氏本長一氏
母豚1頭と子豚、有畜複合で野菜を育てている氏本さんからは、アニマルウェルフェアとは画一的なものではなく、様々な角度から議論する必要性があるというお話でした。例えば、どれくらいの規模で畜産を行っているのか、経営者の思想はどうなのか。消費者の立場でも、どんなライフスタイルか、目線が違えば畜産現場に対しての理解も考え方も違ってきます。どちらが正しい、正しくないの議論ではなく、角度を変えて考えることの気づきになるお話でした。








