2016年5月28日、Animal Welfareに配慮した畜産物を生産している生産者の方々の集まりである、AWFC・JAPANの設立総会・第一回シンポジウムに出席してきました。
Animal Welfareに関わりたいという思いから、講義を学生時代に拝聴した先生方を訪ねたり、書籍を読み返したりして情報を収集していたところ、偶然にもインターネット上で同総会・シンポジウムを発見し、参加する必要性を感じたのです。
ただ当初は、参加者総数はそう多くないのではないかと予想していました。しかし当日会場に行ってみると、400人は入れるであろう大講堂で、参加者も100人超と、想像以上の規模に純粋に驚きました。
シンポジウムの中で、AWFC・JAPANでは家畜を「単なる農産物ではなく感受性のある生命存在」と述べており、「家畜を行動要求満足度の高い生活状態で飼育し、人もそのことによって家畜から癒しを受けるなど、相互に満ち足りた生活を与えあっている状態」を家畜の”アニマルウェルフェア”と定義していました。この定義にはAWFC・JAPANの、「ただ欧米型のAnimal Welfareを取り入れるのではなく、これまでのAnimal Welfareをさらに先に進めよう」という気概が現れているのかもしれません。
生産者の方々の発表中には「牛が幸せだと自分も幸せ」という従業員さんがいるという内容もありました。これは農場の従業員さんと動物たちとの間に、飼い主とペットの間に成立するような関係性が成立していることを示唆します。Animal Welfareへの配慮はある種、日々動物と触れ合っている生産者の方々にとっては当たり前に抱き得る概念なのだなと思ったのです。
加えて、帯広畜産大学の瀬尾先生がおっしゃった「放牧に限らず、畜舎でも AW の実践は可能。 AWFC会員の皆様が『特別な人』にならないようにしていただきたい。」という言葉も印象的でした。Animal Welfareというワードを共通点に集まった生産者の方々ではあるけれど、その思いも実施度合いも様々。Animal Welfareに配慮することを自社製品に対する新たな価値付加戦略のひとつと認識して参加されている方もいれば、真にAnimal Welfareが良いものだと感じて実践されている方もいる。そんなAWFC・JAPANには、生産者の方々が大学の先生方の力も借りながら、協力して一つの文化を作っていこうとする流れの先駆けになってほしい。次の社会を見据えた付加価値を提供することで、世界に誇れる日本のAnimal Welfareの一類型を成立させてほしいと思って止みません。